墨出しマニュアル

現場で使える墨出しマニュアル

建設業界の闇・・・なぜ、慢性的な人手不足なのか・・・

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皆様 日々の業務お疲れ様です。

さて、今回は建設業の切実な問題点を考えています。

15年以上この業界で感じたことを正直にお話します。

おそらく、今から私が話す事が建設業の衰退の最も大きな問題の一つだと確信しております。

 その影響は墨出し業界にも例外なく暗い影を落としています。

今回は建設業の問題点を紹介します。次回はそれをふまえて墨出し業界になぜ、マニュアルが作られないのかを解説していきます。

 

建設業界の問題点

主に3つあります。

 

     1、高齢化

     2、若者の建設業離れ

     3、人工商売をいまだに続けている

 

この3つとも、とても切実な問題です。

このまま放置しておけば、いずれ日本人の手で建物を作ることはできなくなるでしょう。

 

解決の糸口はあるのか?

私も微力ながら、もがいています。

このブログも少しでも解決に近づこうという思いで書いています。

 

では順に解説していきます。

 

①職人の高齢化問題

 今、建設現場に入るとまず驚きます。

職人さん達の年齢層の高さに・・・。

私は40代後半ですが、現場にいると、

「オレ、もしかしてまだ若造・・」

と、思ってしまいます。

 

ある大工さんと仲良くなったのですが、その方はなんと83歳!!

腰は曲がってしました。(大工の腕はたしかだった)

日本全体の問題ではありますが、特に建設業ではとても高齢化が進んでいます。

 

若い人は・・ベトナム人の方ばかり・・

 

いつまでもお元気でいてもらいたいところですが、そうはいきません。

いずれ引退していきます。

その高い技術と豊富な知識を伝えずに・・・です。

それに加えて、昨今の夏の暑さは高齢者にはこたえます。

現場では、毎日のように熱中症一歩手前の人がでます。

高齢者がかなり多いのが現状です。

 そして、コロナ。

現場は屋外が多く、換気もいい。3密になる事もさほどない為、一般の業種に比べれば

リスクは低いと思います。それでも高齢者は、コロナにかかると重症化するリスクは

高いはずです。

 夏の暑さと、冬のコロナ・・高齢者には働きずらい環境になりつつあります。

 

②若い人達がいない・・・

建設業の若者離れが他業種と比べ著しいのは一目瞭然です。

もちろん、若者の責任ではありません。

 

しかし、なぜここまで、この業界は嫌われてしまっているのでしょうか・

 主に3点あります。

 ①3Kイメージ

 ②長時間労働

 ③低賃金、社会保障もない。

これは見ただけで好んで働こうという人はいないと思います。

実際、入社しても、すぐ辞めてしまいます。

「今の若者は根性がないな」

この業界の人達はそう言ってごまかしてきています。

でも、違います。

 これは構造上の問題なので、ここを解決していかないと若者が働いてくれません。

 

 高齢者が引退した時、この業界は崩壊します。

 

 実は、①、②の問題はすべて次に紹介する③の問題、

「人工商売」

から、発生しています。建設業をおおう暗い影はすべてここから端を発して

いるのです。

 

③人工商売

 人工商売とはなにか?

 わかりやすく言うと「ピンハネ」です。

 職人一人が一日働いて得られる報酬を「人工(にんく)」と呼びます。

 

 例えば、ゼネコン(元請け)から一人工、一万二千円もらったとします。

 作業員に日当として一万円、のこりの二千円を会社が頂く。

 かなり、ざっくり言っています。経費を考えていないので実際は、もっと作業員の手取り額は減っていきます。

 

 これが、主な建設業のビジネスモデルです。

 

 では、人工商売のなにが問題なのか。

 

   ・優秀な人材が育たない。

   ・イメージが悪い

   ・元請け依存体質

 この3点があげられます。一つ一つ見ていきます。

 

     優秀な人材が育たない

 これが、最大かつ最悪な問題です。

①の高齢化、②の若者の建設業離れと直結します。

 

なぜ人工商売をすると、優秀な人材が育たないのか。

 

人工商売の致命的欠点

 

人工商売をしている会社は、実は

「社員にいつまでもバカでいて欲しい」

のです。

「そんなことはない!」「うちはちゃんと教育している」

「人が育たなくて困っているのにそんな事があるか!」

怒号が聞こえてきそうです・・。

しかし、心の奥底では

「社員にいつまでもバカでいて欲しい」

のです。

 

 先程の1万2千円の例で説明します。

ある仕事ができない社員に

「おまえ、仕事、本当に覚えないよな~。覚えないといつまでも給料あがらないよ」

といって、入社からずっと5千円に固定します。

 すると7千円が会社の取り分です

 会社が儲かります。潤うのです。

 できない社員がいれば、いるほどです。

 逆に優秀な人材は仕事を覚えるので、給料を上げざる得ません。

給料を上げなければ、優秀なので、さっさと見切りをつけて、転職してしまいます。

 なによりも、仕事が出来る人がいないと現場が回っていきません。

会社は(経営者)は苦々しい思いで、高給を支払います。

給料日にはいつも嫌味をいいます。

「おまえは高給取りだな~。金払っているのだからもっと頑張れよ。」

この言葉聞いたり、もしくは、言ってしまったことはないですか。

 私も従業員時代はよく言われました。

 恥ずかしながら経営者になってからも言った覚えがあります。

でも、優秀な社員は既に十分に頑張っています。

なにせ、周りにできない社員だらけなのですから・・・。

往々にしてこういった人達は責任感が強く、

「現場に迷惑かけられない・・・会社の評判が悪くなる・・・」

などと考えてしまい、人一倍頑張っているのです。

 もし、特に問題なく業務が回っているなら、この人達のお陰です。

でも、やがて限界がきて、去っていきます。

 そして最悪のループが完成します。

 

       儲けたい、人を安く雇いたい。

            ↓

       できない社員を増やす

                                      ↓

       できる社員には給料をけちる

       もしくは、もっと働かせる

            ↓

       できる社員の負担が増え、去っていく

       もしくは、仕事が雑になる 

            ↓

       技術者の流出、やる気の低下により

       仕事がこなくなる、売り上げが減る

            ↓

       始めに戻る・・・・

 

このループが完成します。そして、崩壊するまで続きます。

 

        イメージが悪い

 

 ピンハネは当然イメージはよくありません。

   

        元請け依存体質

 

 基本的に建設業はゼネコン(元請け)から仕事を発注されて、それをこなす事で利益をあげていきます。

ゼネコンから仕事が発注されなければ、収入はありません。

完全に依存しています。

 昭和は特にひどかったのですが、ゼネコンは威張り散らし、立場の弱い下請け業者はペコペコ、すり寄り、接待、賄賂・・・。

下請け業者の社長は飲むのが仕事だと言っている経営者が本当にいました。

 令和の時代になり、そこまで威張り散らすゼネコン社員はあまりいません。ほどんどの監督さんは紳士的、常識的です。

 

 でも・・基本的構造はなにも変わってはいません。

ゼネコンの胸三寸ですべてが決まってしまいます。

 平成では、リーマンショックの時が本当にひどかった・・・

日本全体で仕事がなくなりました。

仕事があればいい・・。皆口々にそう言いました。

転職したり、田舎に帰ったり、廃業したり、多くの職人さんが業界を去っていきました。

 仕方ない面もありますが、職人一人の単価がみるみる下がりました。2~3割くらい下がりました。生きていければ、暮らしていければ・・そんな気持ちで働いていました。

圧倒的に弱い立場です。世は平成でしたが、威張りだす監督が増えてきました・・・。

 このように時代の変化があると、すぐにその基本的構造による上下関係がクリアになっていきます。

下請け側もダメダメでした。

結局は、みんなで安酒飲んで、

「ゼネコンが悪い、ゼネコンが悪い」

と、愚痴を言って憂さ晴らし。現状に甘んじているのです。すべてはゼネコン次第・・・

ここで、水柱 富岡さんの名言でしめます。

 

生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」

 

 まとめ

 建設業の問題点

  ①高齢化

  ②若者の建設業離れ

  ③人工商売がやめられない・・

 

 ・この3つの問題のうち、最大の問題は人工商売である。

 ・人工商売が、もたらす悪循環

 

      ・優秀な人材が育たない、流出

      ・イメージの悪化

      ・元請け依存から抜けられない

 

 このように、建設業は深刻な問題を抱えています。

それに加え、墨出し業界は独特な問題点もあり、若い人達の育成を阻んでいます。

次回はなぜ墨出し業界にマニュアルがないのか解説します。

その後、具体的な墨出しマニュアルの解説に入っていきます。

 

 株式会社 中村測量では、この人工商売のループから抜け出すメソッドを開発しています。このメソッドを広めることで、少しでも業界が良くなればいいなと思っています。

 

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