墨出しマニュアル

現場で使える墨出しマニュアル

座標の知識 (後方交会法)

座標の知識


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スマートに斜めの返り墨を出すための第3回目です。

今回は座標について解説していきます。

第1回でも触れています。少し、振り返りをしてから、進めたいと思います。

とは言っても、第1回で解説したことが、一番重要なことになります。あとは、座標を正確に導き出せればOKです。

関数電卓でも、トータルステーションでも、座標が正確に出せないと斜めの返り墨は出せません。

 

座標の知識の復習

 

1、測量の座標

測量の座標は、一般の座標と逆になります。

X座標が上下方向、Y座標が左右方向となります。

ややこしいですが、身につけます。

測量座標



2、プラス、マイナスの位置関係

第一象限:X,Y共にプラスとなる

第二象限:Xがマイナス、Yがプラス

第三象限:Xがマイナス、Yもマイナス

第四象限:Xがプラス、Yがマイナス

 

覚え方として、上がプラス、右がプラス。

座標の位置



ここまでが第1回の斜めの解説動画の座標の内容です。

 

ではここで2問ほど、問題を出して見ます。

X座標とY座標を出してみてください。

 

第1問

座標問題

答え

X=3000   Y=6000

 

第2問

 

座標問題2

 

答え X=-1500、Y=-500

いかがでしたか?

 

トータルステーションで座標を使う

トータルステーション

座標を理解すると、トータルステーションでの墨出しができるようになります。

座標を理解していないと、ただ距離を測るだけの値段の高い器械になってしまいます。

座標が使えるとできる墨出しを紹介します。

 

1、座標観測

座標軸をセットした状態で、ターゲットを観測するとX,Yの値が表示されます。

建物の実測にはもちろん重宝します。

その座標をCADに反映させて、実測図を作ることができます。

 

通り芯、通り芯の返り墨を出すのにも使えます。

 

 

2、杭打ち

あらかじめ計算した座標を、ピンポイントに出すことができる機能です。

座標を入力すると、器械点から座標までの距離、角度が表示されます。

まずは角度を合わせてから、距離を測ります。

すると後ろに何ミリ、もしくは、前に何ミリを表記されますので、その分を移動して、位置を導き出します。

ピンポイントでの位置出しですので、地縄、杭芯出しで多用します。

 

3、路線計算

簡単にいうと、返り墨を出せるコマンドです。

第4回で詳しく手順を解説します。

これが使えると、斜めの返り墨はもちろん、境界の返り墨などにも使えますので、外構工事で活躍します。

 

この3点をマスターすれば、ほぼ出せない墨はありません。

座標の墨出しで一番怖いのは、座標の計算間違いです。

特に杭芯や山留め杭などを間違えると、かなり厄介なことになります。

CADで杭芯を拾う

できれば、事前にCADを入手して、CADで座標を拾うことをおすすめします。

そしてそのまま、トータルステーションに取り込みます。

そうすることで、計算間違い、トータルステーションへの座標の入力ミスを完全に防げます。

あとは、器械点の間違い、器械を適切にセットすることは気をつければ、ミスはなくなります。基礎は間違えるとダメージがでかいので、念には念を入れて準備してください。

 

おすすめ座標軸の設定

 

次に、座標軸を決めます。

要するに原点、0、0の位置を決めます。

墨出しは任意に座標軸を組みますので、どこでもいいのですが、おすすめの原点は、

X1とY1の交点を原点にすることです。

座標軸

まず、忘れない。これが最大のおすすめポイントです。

どの現場でもX1、Y1を原点にすることで、現場を10、20個担当していても、座標軸で迷うことはなくなります。

 

次に、マイナス座標を極力減らすことができる。

些細な点かもしれませんが、トータルステーションに入力する際、操作が一つ減ります。

打ち間違いリスク、時間の短縮は馬鹿にはできない点です。

 

器械点を設定する

 

座標を出す際は、トータルステーションの据えている位置を特定する必要があります。

そこからの距離、角度で座標をだすからです。

通り芯の交点などに据える場合は、器械点は明白にわかります。

しかし、常にそのような場面があるわけではありません。

そこで便利なのが、「後方公会」というものです。こうほうこうかいと読みます。

2点~3点のわかっている座標(既知点、きちてん)を観測することで自分の位置を特定する方法です。

任意の場所にトータルステーションを据え付けて墨出しすることができる優れものです。

常に、まっさらな敷地で墨出しすることはできません。特に建築現場では、重機やら、材料、仮囲い、鉄板敷きなど墨出しを邪魔するもので満載です。

どこでも器械を据えれるというのは、大きな武器になります。

トータルステーションにはかならず付いている機能です。

後方公会法



 

この図のように2点以上の座標がわかっている場合、器械点が求められる方法です。

 

注意点

1,2等辺三角形になるのが理想

2,角度は90°~120°にする。

3,既知(わかっている座標)の座標が多い方が精度が高い。

 

トータルステーションでの後方公会のやり方【ソキア CX-105F】

 

1,まず後方公会のコマンドを選択、もしくは、座標、杭打ちで、器械点設定を選ぶと後方公会のコマンドが出てくる。

 

2,Aを視準、観測キーを押す。YES→Aの座標を入力、もしくは、あらかじめ記憶しておいた座標は呼び出す。→次

 

 

3,Bを視準、観測キーを押す。YES→Bの座標を入力、もしくは、あらかじめ記憶しておいた座標は呼び出す。→計算を押す。

 

4,器械点が表示される→NEZキーで誤差を確認

 

5,大丈夫なら、OKを押す。

 

6, 方向角を設定しますか?という画面がでますので、YESを押します。

 

7,その後、器械点を表示した画面がでますのでOKを押す。これで完了です。

あとは観測するだけ。

 

最後のOKを押さないと器械点が設定できないので、忘れずに!

 

後方公会はわかっている座標がないと機能しません。

ですので、地縄の際に、逃げの座標を必ず作ります。

脚立をつかって、動かなそうな電柱や建造物に反射シートを張ります。通行人などに

はがされないよう、高い所に貼るのがベストです。

反射シート

通り芯が決まったら、その反射シートの座標を記録しておきます。

人が持つプリズムと違い、固定されているので、かなり正確に測定できます。また相方にあっち行って、こっち行ってとお願いする事もなく、気兼ねなく測定できます。

おすすめです。

1階の親墨出しまでは、その反射シートは使います。杭芯、捨コンではかなり重宝します。

ぜひ、設置しましょう。

反射シート設置

まとめ

 

今回は座標のおさらいと、トータルステーション使った座標の活用法を解説しました。

これで斜めの返り墨を出す準備はととのいましたので、次回、関数電卓、そしてトータルステーションで斜めの返り墨を出す手順を解説します。

 

座標はおぼえるとかなり役に立ちます。特に難しい知識ではないので使いこなしていきましょう。

 

1,測量座標

2,プラス、マイナスの位置

3,座標を使った墨出し。座標測定、杭芯出し、路線計算を覚える。

4,後方公会を使いこなす。

 

以上が墨出しで使う座標の知識です。

これで、次回解説する路線計算を使って、斜めの返り墨を出せます。

 

今回はこれで終了です。

おつかれさまでした!!