墨出しマニュアル

現場で使える墨出しマニュアル

墨出し屋におすすめCAD一選!墨出し屋に最適なCADはこれ!

墨出し屋さんのにおすすめCADはこれ!


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皆さんはどんなCADを使ってますか?

JWWAUTOCAD

主にこの2つを使っている方が多いと思います。

墨出しの手元だとCADの必要性は感じないかもしれません。

しかし、いずれ職長になったとき、使えると一歩先を行く職長になれるかもです。

でも、どのCADを覚えればいいのかわからいという方もいると思います。

そこで、私が一押しのCADの紹介をしたいと思います。

 

墨出し屋におすすめCAD 図脳rapid

【図脳 rapid PRO】(ずのう ラピッド プロ)

図脳RAPIDPRO21

このCADがおすすめです!

特に墨出し屋さんはこれを使ったほうがいいと断言できます。

photronという会社が販売しております。純国産なので、とにかくコマンドがわかりやすい!

ランクや派生商品もたくさんあるのですが、建築系の人は迷わずPROにしてください。

少し値段が高くなりますが、その価値はある!

税込で15万4000円です。

「お金だすのか~」

確かにJWは無料で使えます。多くゼネコンで使われています。

いまお金が厳しい人はJwでもいいと思います。とにかく始めることが大事ですから。

しかし、使い勝手が全然違うんです。操作覚えるまでのスピード、作業効率などが圧倒的に優れているんです。

この記事はアフィリエイトとか宣伝とかではないので、本音で言っています。

余裕があるのなら、購入することをお勧めしますね。

どこが優れているのか。3つほど理由を説明します。

 

何故おすすめなのか?その理由3個

1.互換性が優れている

墨出し屋さんにおすすめする一番の理由がこれ。互換性がrapidはとにかく優れています。

墨出し屋さんは、色々なゼネコン、建築会社を取引先に抱えています。

その全部が、JWを使ってはいないのです。オートCAD使っている会社もあります。

JWはともかく、オートは結構お値段ご高い。

両方揃えるのは、抵抗があります。

また、操作を覚える時間も倍かかります。

しかし、rapidはjw.オートに変換が簡単にできます。変な文字化けなどもあまりありません。

またPDFもCAD化できたりと、rapidひとつあればほぼ事足ります。

 

2.操作性がいい、直観的

純国産製のCADなので、日本語表示です。

しかも、コマンドの絵を見ればなんとなく使い方がわかるので、すぐ使い始める事ができます。線を描く、寸法を読み取るくらいなら、インストール後、すぐできます。

 

 

3.価格

オートに比べて格段に安い!

JWは無料なので、比較になりませんが、操作性などを考えたら安い方だと思います。

私は、独立の際、思い切って購入しました。

充分に元は取ってますね。

 

rapidのデメリット

デメリット

それでは、デメリットはないのか。

少しだけあります。

 

1,名前が恥ずかしい・・

「CADなに使っているの?」

と、聞かれたら

「rapid」

って言いづらいです。

「うさぎ?」

となります。

あまり知っている人が少ないのが、欠点ですね。

 

2,アップデートに費用がかかる

 

時々、アップデートされます。すでにrapidを持っている人は、安くアップデートできます。

しかし費用がかかるのも事実。アップデートはするもしないも自由ですが、(通常作業には支障なし)AUTO CADのバージョンアップに追いつくためには、アップデートしないとなりません。まあオートのように毎年アップデートするわけでもないので、不便を感じたらする程度の認識でOKです。

 

墨出し屋はどんな場面でCADを使うのか?

さて、墨出し屋さんがCADをよく使う場面を紹介していきます。

1,返り墨出し

斜めの返り墨を出す時に使います。

平行のコマンドを使って出します。斜めの基準線をクリックして返り墨の幅を入力すればOK。

あとは現場で再現しやすいように、寸法を入れておきます。

 

2,間仕切り墨出し

 

あらかじめ平面詳細図が手に入れば、現地で計算機を使わないように、寸法を入れていきます。余裕があれば、LGSの色を変えて見やすくします。これでスピードUPします。間違いも少なくなるでしょう。

 

3,地縄、杭芯、山留の座標を拾う

 

ここが一番活躍するところですね。

座標をCADで拾います。そのままトータルステーションに入れれば間違いは限りなくなくなります。ここらのスタート業務は間違いは厳禁なので、CADで事前準備するのが良いでしょう。

むしろ、できないと不安になります。

ですので、配置図、杭伏せ図等は事前に入手する癖をつけておきましょう。

 

4,実測図を描く

 

トータルステーションで座標実測をしたあと、図面化します。

これはCADがないとできない仕事です。

改修工事、外構工事、もしくは地縄前の測量などで活用します。

CAD&トータルステーションができないと依頼されない仕事です。これらができればそれだけで他社との差別化がはかれます。

 

5,その他

 

あと私が経験した仕事は、太陽光の杭、フェンスの位置だし、沿道掘削申請などがあります。

 

墨出し屋はCADを覚えた方がいい

結論から言うとこれからの時代、墨出し屋さんはCADが使えるのが当たり前になっていきます。逆に使えないと仕事が限定されてしまいます。

おぼえてしまいましょう。

どれを覚えるという問題がありましたが、私の推しはrapidです。

JWもAUTOも覚えるのに少し難ありと感じます。

その点rapidは直感的に使えて覚えやすい。これさえ覚えれば他を覚えなくてもいいので、

おすすめです。

無料で確か1ヶ月使えますので一度試してみてはどうですか?

 

斜めの返り墨を出す方法(トータルステーション編)


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では、今度はトータルステーションで斜めの返り墨を出す方法を解説します。

しかし、トータルステーションの操作方法を覚えるだけで出せてしまいます。

CADで事前準備できないときは、トータルステーションが最適です。

 

路線計算というコマンドを使います。

この路線計算は、覚えると非常に便利なコマンドです。

特に外構工事で役立ちます。境界ラインの返りなどを出したりします。

 

手順

①斜めの起点、終点の座標を計算する。

②後方公会をして、器械点を設定する。

③路線計算を選択。

④基本点の座標を入力する。

⑤IP点の座標を入力する。

⑥追加距離を入力する。

⑦幅杭を入力する。

⑧杭打ちを選択。

⑨角度を合わせて、距離も合わせる。

⑩もう1点の座標を出す。

 

設定

前回も使った図面を、今回も使用したいと思います。

 

斜めの起点 A 点 座標はX=3000 Y=1000

斜めの終点 B点 座標はX=5000 Y=10000

返り墨の幅は1000。

交点Bから1000のところで、交点の返り墨を出します。



操作方法

事前準備として、A、B点の座標を求めておきます。

その後、後方公会をして器械点を設定します。

トータルステーションはソキアのCX-105Fです。

ソキア



①路線計算を選択します。

路線計算

②その後、直線のコマンドを選択します。

直線

③次に基準点を入力します。

5000,10000

入力後、OKボタンを押します。

基準点



④OKを、押すと次の画面に映ります。

IP点入力の画面になります。

3000,1000

入力後、OKボタンを押します。

IP点




⑤次に、直進/中心杭という画面がでます。

追加距離を入力します。1000と入力してOKボタンを押します。

追加距離



⑥すると、幅杭というコマンドが出ますので、それを選択します。

要するに返り墨の幅を決めます。1000返りだったら1000と入力するのですが

プラス、マイナスの区別があります。

基準点からIP点方向に進む場合、右手方向に1000返すならプラス。

左手方向に1000返す場合はマイナス。

ここだけ注意してください。

今回はB点が基準点、A点がIP点ですので、-表示になります。

幅杭



⑦ここまできたらもう一歩です。つぎに杭打ちのコマンドを選択します。

すると、角度、距離の画面がでてきますので、まずは角度を合わせます。

角度を0°0分0秒に合わせたら、距離を測距します。

すると、後ろに何ミリもしくは前に何ミリと表示されますので、ターゲットを距離がゼロになるまで動かしてください。

角度ゼロ、距離ゼロの地点が今回求めたい点です。

杭打ち



⑧次にもう一点の座標を出します。

ここで気をつける点は器械点とIP点を逆にして観測すること。

一回目がAが基準点だったら、2回目はIP点にする。

一回目がBがIP点だったら、2回目は基準点にする。

なぜなら、追加距離はマイナス表示ができないからです。

 

⑨どちらかにトータルステーションを据えて、ポイント取り、墨打ち作業をする。

どちらのポイントでもいいので、ポイントとポイントを結びます。

今回はD点に据えます。こちらで交点の返り墨を出したいので、直線の墨打ちが終ったらそのまま90°振って交点1000返りの墨がだせるからです。

 

これで斜めの返り墨を出す事ができました。

交点の返り墨を出す



まとめ

さて、これで斜めの返り墨を出す方法がすべて出そろいました。

 

斜めがある現場は、あらかじめわかっている場合がほとんどです。

ですのでCADで斜めの返り墨を出す準備をしておくのが確実です。

作業時間的にも、間違いを防ぐ意味でも一番良いと思います。

 

つぎに、トータルステーションを使う方法。

これも、簡単です。

座標の計算間違い、入力ミス、後方公会のミスをを気をつければ確実な方法といえます。

 

最後に、関数電卓で出す方法。

最終手段でしょう。一番計算ミスなどが起こりやすい方法です。

しかし、従来のサイン、コサインより複素数を使った計算を使えば、間違いも激減します。なにより、計算時間が短縮できます。

 

より、確実性を求めるには、組み合わせるのがいいでしょう。

たとえば、トータルステーションでポイントを出した後、関数電卓で計算してみる。

ダブルチェックです。

ここまでやれば、安心できるでしょう。

親墨出しは間違いができないので、ダブルチェックするのが良いと思います。

 

今回はここまでです。

おつかれさまでした!!

斜めの返り墨を出す方法(関数電卓編)

斜めの返り墨を出す方法


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さて、いよいよ斜めの返り墨を出す方法を解説します。前回までの、三回の知識を必要とします。

関数電卓で出す方法、そして、トータルステーションで出す方法を解説します。

このシリーズを最後まで見ればあなたも斜めマスターです。

 

まずは関数電卓から。

複素数計算を使います。

前回では、距離、角度を一瞬で出す方法を解説しました。今回はプラスして、座標を出す方法が付け加わります。覚えるのはこれだけ。あとは手順を理解すればOKです。

斜めの返り墨がだせます。

 

設定

まず、このキリがいい数字を使った図面で解説していきます。

設定



手順

 

1、交点の座標をだす。

 

まず、斜めが始まっているXとYが交わる点の座標を出します。(A)

 

交わる点を交点と呼びます。

次に、斜めが終っている交点の座標を出します。(B)

 

 

そして、この座標をメモリーします。(STO→A、STO→B)

 

2,交点間の距離を求める

 

複素数計算で出します。Absキーで求める計算です。

 

3,AからCの距離を求め、メモリーする

 

A~B間の距離から、1m離れた所にCがあるので、単純にAB間距離から1mを引きます。そしてそれをメモリーします。距離なので、Mに格納します。

 

4,角度を求めます。

Aを器械点とし、Bを観測点としたときの角度を求めます。

角度がでたら、Xに格納します。

 

5、角度を加工します。

さきほど格納したXに90°をプラスした数値を今度はYに格納します。

 

6,Cの座標を出し、メモリーする。

7,Cの座標を呼び出し、Dの座標をだす。

 

これでDの位置が特定できました。

斜めの基準線から1m平行返った墨で、かつ、交点から1m離れています。

斜めの返り墨を打った後、Dに差し金、もしくはトランシットで90°振ればOK。

 

手順はこれだけ。簡単です。サイン、コサイン考えるよりはるかに簡単です。

電卓操作を覚えるだけです。

 

しかも、この方法のいい所は交点の返りも出してしまう点です。

ぜひ、覚えてください。

 

関数電卓操作法

1, 座標の入力

 

A 3000+1000 i STO→A

 

B 5000+10000 i STO→B

 

2,A~B間の距離を求める

 

SHIFT→Abs→(alphaA - alphaB)=9219.544457

 

3,A~C間の距離を求めて、メモリーする

 

そのまま-キーを押す。ANS-となる。

1000入力=8219.544457  STO→M

 

 

4,角度

 

OPTNキー→1,偏角を選択 Arg(     

alphaB-alphaA=77.47119229  STO→X

 

5,角度の加工

 

そのまま+キーを押す ANS+

 

90°を入力 STO→Y

 

6、Cの座標を求める

 

ここから初めての操作が入ります。でも特に難しくはありません。

 

①Aを呼び出す alphaA

 

②+キーを押しAC間の距離を入力

 

+alphaM

 

③ 角度を入力

shift ∠(ENG)これは初めてのボタンですが、∠←この記号が書かれているので、わかりやすい。

 

④角度を入力(加工していない方) SHIFT→X =

 

4783.069542 

+9023.81294

 

これがCの座標です。上の方がX座標、下がY座標です。

これをこのままメモリー  STO→C

 

7,Dの座標を求める

 

Cの座標を呼び出す。alphaC そのまま+キーを押し、1000(返り墨)

shift ∠ alphaY(加工した角度)

イコールキーでDの座標がでました。

3806.8824882

+9240.743398

これがDです。

斜めの返り墨答え

特に難しいことはなかったと思います。

モリーの位置は忘れないことと、打ち間違いだけ気をつければ、だれでも簡単に斜めの返り墨を出す事ができます。

 

もちろん1点では返り墨はでないので、もう一点も計算しますが、メモリーしてあるので、先ほどよりも簡単にできます。あとはその2点をトランシットで結べばOKです。

 

いかがでしょうか?

操作を覚えるまでは、大変かもしれません。

でも、覚えてしまえばこっちのもの。斜めの返り墨は関数電卓で素早くだせます。

他の人がサイン、コサインで計算しているのを横目にさっと計算できているのですから、びっくりされると思いますよ。

 

関数電卓での斜めの返り墨は以上です。次はトータルステーションでの返り墨の出し方を解説します。

 

おつかれさまでした!!

 

 

座標の知識 (後方交会法)

座標の知識


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スマートに斜めの返り墨を出すための第3回目です。

今回は座標について解説していきます。

第1回でも触れています。少し、振り返りをしてから、進めたいと思います。

とは言っても、第1回で解説したことが、一番重要なことになります。あとは、座標を正確に導き出せればOKです。

関数電卓でも、トータルステーションでも、座標が正確に出せないと斜めの返り墨は出せません。

 

座標の知識の復習

 

1、測量の座標

測量の座標は、一般の座標と逆になります。

X座標が上下方向、Y座標が左右方向となります。

ややこしいですが、身につけます。

測量座標



2、プラス、マイナスの位置関係

第一象限:X,Y共にプラスとなる

第二象限:Xがマイナス、Yがプラス

第三象限:Xがマイナス、Yもマイナス

第四象限:Xがプラス、Yがマイナス

 

覚え方として、上がプラス、右がプラス。

座標の位置



ここまでが第1回の斜めの解説動画の座標の内容です。

 

ではここで2問ほど、問題を出して見ます。

X座標とY座標を出してみてください。

 

第1問

座標問題

答え

X=3000   Y=6000

 

第2問

 

座標問題2

 

答え X=-1500、Y=-500

いかがでしたか?

 

トータルステーションで座標を使う

トータルステーション

座標を理解すると、トータルステーションでの墨出しができるようになります。

座標を理解していないと、ただ距離を測るだけの値段の高い器械になってしまいます。

座標が使えるとできる墨出しを紹介します。

 

1、座標観測

座標軸をセットした状態で、ターゲットを観測するとX,Yの値が表示されます。

建物の実測にはもちろん重宝します。

その座標をCADに反映させて、実測図を作ることができます。

 

通り芯、通り芯の返り墨を出すのにも使えます。

 

 

2、杭打ち

あらかじめ計算した座標を、ピンポイントに出すことができる機能です。

座標を入力すると、器械点から座標までの距離、角度が表示されます。

まずは角度を合わせてから、距離を測ります。

すると後ろに何ミリ、もしくは、前に何ミリを表記されますので、その分を移動して、位置を導き出します。

ピンポイントでの位置出しですので、地縄、杭芯出しで多用します。

 

3、路線計算

簡単にいうと、返り墨を出せるコマンドです。

第4回で詳しく手順を解説します。

これが使えると、斜めの返り墨はもちろん、境界の返り墨などにも使えますので、外構工事で活躍します。

 

この3点をマスターすれば、ほぼ出せない墨はありません。

座標の墨出しで一番怖いのは、座標の計算間違いです。

特に杭芯や山留め杭などを間違えると、かなり厄介なことになります。

CADで杭芯を拾う

できれば、事前にCADを入手して、CADで座標を拾うことをおすすめします。

そしてそのまま、トータルステーションに取り込みます。

そうすることで、計算間違い、トータルステーションへの座標の入力ミスを完全に防げます。

あとは、器械点の間違い、器械を適切にセットすることは気をつければ、ミスはなくなります。基礎は間違えるとダメージがでかいので、念には念を入れて準備してください。

 

おすすめ座標軸の設定

 

次に、座標軸を決めます。

要するに原点、0、0の位置を決めます。

墨出しは任意に座標軸を組みますので、どこでもいいのですが、おすすめの原点は、

X1とY1の交点を原点にすることです。

座標軸

まず、忘れない。これが最大のおすすめポイントです。

どの現場でもX1、Y1を原点にすることで、現場を10、20個担当していても、座標軸で迷うことはなくなります。

 

次に、マイナス座標を極力減らすことができる。

些細な点かもしれませんが、トータルステーションに入力する際、操作が一つ減ります。

打ち間違いリスク、時間の短縮は馬鹿にはできない点です。

 

器械点を設定する

 

座標を出す際は、トータルステーションの据えている位置を特定する必要があります。

そこからの距離、角度で座標をだすからです。

通り芯の交点などに据える場合は、器械点は明白にわかります。

しかし、常にそのような場面があるわけではありません。

そこで便利なのが、「後方公会」というものです。こうほうこうかいと読みます。

2点~3点のわかっている座標(既知点、きちてん)を観測することで自分の位置を特定する方法です。

任意の場所にトータルステーションを据え付けて墨出しすることができる優れものです。

常に、まっさらな敷地で墨出しすることはできません。特に建築現場では、重機やら、材料、仮囲い、鉄板敷きなど墨出しを邪魔するもので満載です。

どこでも器械を据えれるというのは、大きな武器になります。

トータルステーションにはかならず付いている機能です。

後方公会法



 

この図のように2点以上の座標がわかっている場合、器械点が求められる方法です。

 

注意点

1,2等辺三角形になるのが理想

2,角度は90°~120°にする。

3,既知(わかっている座標)の座標が多い方が精度が高い。

 

トータルステーションでの後方公会のやり方【ソキア CX-105F】

 

1,まず後方公会のコマンドを選択、もしくは、座標、杭打ちで、器械点設定を選ぶと後方公会のコマンドが出てくる。

 

2,Aを視準、観測キーを押す。YES→Aの座標を入力、もしくは、あらかじめ記憶しておいた座標は呼び出す。→次

 

 

3,Bを視準、観測キーを押す。YES→Bの座標を入力、もしくは、あらかじめ記憶しておいた座標は呼び出す。→計算を押す。

 

4,器械点が表示される→NEZキーで誤差を確認

 

5,大丈夫なら、OKを押す。

 

6, 方向角を設定しますか?という画面がでますので、YESを押します。

 

7,その後、器械点を表示した画面がでますのでOKを押す。これで完了です。

あとは観測するだけ。

 

最後のOKを押さないと器械点が設定できないので、忘れずに!

 

後方公会はわかっている座標がないと機能しません。

ですので、地縄の際に、逃げの座標を必ず作ります。

脚立をつかって、動かなそうな電柱や建造物に反射シートを張ります。通行人などに

はがされないよう、高い所に貼るのがベストです。

反射シート

通り芯が決まったら、その反射シートの座標を記録しておきます。

人が持つプリズムと違い、固定されているので、かなり正確に測定できます。また相方にあっち行って、こっち行ってとお願いする事もなく、気兼ねなく測定できます。

おすすめです。

1階の親墨出しまでは、その反射シートは使います。杭芯、捨コンではかなり重宝します。

ぜひ、設置しましょう。

反射シート設置

まとめ

 

今回は座標のおさらいと、トータルステーション使った座標の活用法を解説しました。

これで斜めの返り墨を出す準備はととのいましたので、次回、関数電卓、そしてトータルステーションで斜めの返り墨を出す手順を解説します。

 

座標はおぼえるとかなり役に立ちます。特に難しい知識ではないので使いこなしていきましょう。

 

1,測量座標

2,プラス、マイナスの位置

3,座標を使った墨出し。座標測定、杭芯出し、路線計算を覚える。

4,後方公会を使いこなす。

 

以上が墨出しで使う座標の知識です。

これで、次回解説する路線計算を使って、斜めの返り墨を出せます。

 

今回はこれで終了です。

おつかれさまでした!!

関数電卓の使い方 角度、距離、座標を1秒出す技‼️

関数電卓の使い方


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スマートに斜めの返り墨を出すための、2ステップ目です。

今回は関数電卓の使い方です。

私も、墨出しの仕事をしてから、初めて使いました。

ですので、全くの初心者から始めました。今では、全部の機能を使うことはできませんが、墨出しに使う機能は覚えています。数学が得意な人が、使いこなしているわけではないので、参考になると思います。今回の解説を聞けば、墨出しには充分な機能をマスターできます。

 

関数電卓とは?

関数電卓とは、簡単にいうと、足し算、引き算、掛け算、割り算以外も計算ができる電卓です。分数、三角関数、角度など通常の電卓にはできない計算が、ボタンの入力だけで行えます。

 

墨出し屋さんは、割とみんな持っているイメージです。

値段も3千円ほどかかるので、電卓にしては高いですね。

間仕切りなどで足し算、引き算だけで使うのは勿体無いです。

うまく使うと値段以上の働きをするので、ぜひマスターしてください。

墨出しで関数電卓を使う場面

まず、座標計算で地縄、遣り方、杭芯だしなどで使います。一番使う場面でしょう。

次に階段の墨出しに使います。斜辺を出すのに使用します。

あと、親墨出しの斜めの返り墨を出すのに使います。

そのほかの墨でも、斜めやRの墨を出すのに使いますが、よく使うのは上記3点でしょう。

 

おすすめ関数電卓

おすすめ関数電卓

おすすめの電卓は

CASIO   fx -JP500

とう電卓です。

この電卓は土地家屋調査士試験にも使えます。

非常に使いやすく、メモリーも豊富なのでおすすめです。

今回の解説もこの電卓を使用しています。

初期設定する。

ここから具体的な操作法を解説します。

ライン表示にする

初期設定

カシオの場合、割り算の結果が分数になります。しかし、墨出しの実務では、分数を使うことはないので、小数点で表示させるよう変更します。

SHIFT →menuSETUP→1→3 

 

計算結果を記憶させる

STO →A

記憶

これでAに結果を記憶させることができました。

計算結果を呼び出す

ALPHA →A

呼び出す



モリーボタンは全部で9個あります。

モリー位置

どのメモリーになんの数値を格納したか、忘れてしまう事が多々あります。

確認の仕方は、Shift→STO 

どこに格納したか、一覧で確認できます。

しかし、いちいち確認するのも、手間なので、座標はA〜F 。角度、距離などはXYZMとルールを決めておくと後が楽です

 

ポーラー(POL)、レクタンギュラー(REC)

さて、いよいよ計算を開始します。

まずは、ポーラー(POL).レクタンギユラー(REC)

を解説します。

モードは通常モードにします。コンプレックスモードだと使えないので注意。

 

ポーラー(POL)

墨出しだと、階段墨出しで使います。その他にも、斜辺の距離をもとめたい時よく使います。

ポーラーの便利な所は、計算結果を自動的に格納してくれる事です。

Xに距離、Yに角度を格納します。

POL

操作

SHIFT→POL(+)

底辺→SHIFT→カンマキー→高さ=で答えが出ます

Xに斜辺の距離が格納

Yに角度が格納

 

レクタンギユラー(REC)

今度は逆に、斜辺の距離と角度がわかっている時に使います。

この図の通りです。

しかし、ポーラーと違ってあまり使った記憶がありません。使うとしたら、斜めの返り墨出しでしょうか?

一応の知識として抑えておきます。

REC

操作

SHIFT→REC

斜辺の距離→SHIFT→カンマキー→角度

Xに底辺を格納

Yに高さを格納

 

複素数で斜めマスターになる

ここからが、メインです。

複素数で斜めの距離と、角度を出します。

複素数とは...よくわかりません笑

理屈はよくわからないが、角度、距離、座標計算が簡単にできる事で一部では、有名な計算方法です。あまりに便利なので、土地家屋調査士試験で、大流行して問題視された事もあったそうです。

関数電卓の操作を覚えるだけで、簡単に墨出しに必要な計算ができるのです。

斜めの返り墨出しもこの複素数を使って出すので、今回は角度、距離を出す方法を覚えます。

 

コンプレックスモードを使って距離、角度を一瞬で出す

 

まず、モードをコンプレックスモードにします。

Shift→menuSTEPUP→2.複素数計算

複素数計算 初期設定

次に座標を入力し、記録します。

座標の記録は

 

1000➕1000ℹ︎(Eng)Aと、します。

 

ℹ︎をつけるのを忘れないでください。

そのままstoを押して、メモリーキーに記録させます。これだけで1️⃣座標を記録できました。今回はAに記録しておきます。

座標入力A

相手の座標も記録してみましょう。

 

X=5000.Y=5000の座標を記録してみましょう。

5000➕5000i→stoB

座標の入力は一度してしまえば、楽なので事前に実施しておきます。

座標入力B

距離

では、この2つの座標間の距離を出してみましょう。

shift→AbS→ALPHA(🅰️-🅱️)です。

これで距離が出ます。座標さえに入力していれば、1秒ですね。

Aが先でも、Bが先でも構いません。

記録した座標からもう一つ記録した座標を引くと覚えます。

複素数距離計算

次に角度

 

図1



上記の図の角度を求めます。

偏角を選択

角度が出る

これで角度がでます。サインだっけ?コサインだっけ?と考える必要もありません!

複素数の距離と角度の出し方は、斜めの返り墨出しに、使います。関数電卓の操作だけなので覚えてしまいましょう。

 

角度での、注意点はargの式では、「観測点」から「器械点」を引算します。「方向を求める点」から「中心点」を引算するという順番を忘れないようにしましょう。矢印のイメージですと、先から元を引くイメージです。逆にしてしまうと180度異なる値になってしまいます。

注意してくださいね。

答えが出たら、角度表示にしてみましょう。

イメージがつかみやすいと思います。

その後、メモリーします。

角度表示ですが、複素数計算では、方向角という考え方をします。360°で考えるという事です。

右回りに角度が進みます。180°までは通常通り。その後は180°➕〇〇🟰角度になります。

180°から更に90°進んだ場合、270°。

電卓の場合、表示が270°でなく、➖90°と表示されます。

まとめ

今回は、関数電卓の操作を解説しました。

基本的な計算は省いています。

墨出しでよく使用する項目をピックアップしました。そして、複素数の計算。理屈はわからないが、簡単に角度、距離を出せる方法です。

車のエンジンの仕組みはわからないが、車を運転できるのと同じです。複素数を乗りこなしていきましょう!

そして、斜めの返り墨出しの際、使用します。

第4回目では、さらにピンポイントで座標点を導き出す複素数の計算を紹介します。

これで、斜めの返り墨出しは完了します。

三角関数をごちゃごちゃ組み合わせるよりも、わかりやすく、手順も少ない方法です。

 

次は座標を解説します。前回も、大事な部分を解説しました。復習を兼ねつつ、少し深掘りしていきます。座標が、出せないと今回の複素数計算も使えないので、確実に座標を出せるようにしていきます。

 

今回は以上です。

お疲れ様でした!

 

 

 

 

墨出し屋が知っておくべき測量の知識 5選


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今回は、より高度な墨を出せる基礎知識について、4回にわたって解説します。

4回目には、斜めの返り墨出しが、できるようになります。

斜めの返り墨を出すだけなら、関数電卓の操作を覚えれば良いだけですが、どんな場面でも対応できる、どんな墨でも出せるようにするには、基本知識が必要となります。

斜めの墨出しでは、もう悩まないということです。

 

今回、第一回は、測量の基礎

第二回は、関数電卓の使い方

第三回は、座標の知識

第四回は、3回分の知識を使って斜めの返り墨出しを行う三つの方法を解説します。

 

墨出しと測量

 

現場でよく『測量屋さん』って呼ばれる事ないですか?

私はよく言われます。

周りの人からすると、トランシット持って、なんか測っている人はみんな測量屋です。

 

いわゆる測量屋と呼ばれる人達は、大きく分けて3業者に分かれます。

 

1,土地家屋調査士

国家資格をもっています。境界の設置では専門職で、他業者が境界を設置するのは法律違反になります。

境界測定から設置、登記まで行います。

土地家屋調査士試験は国家資格のなかでも上から7番目の難しさです。測量の知識だけでなく、法律の知識もかなり学習しないと取れない資格です。

測量屋というより、法律家が近い。作業着を着た法律家なんて言われています。

 

2,測量士測量士補

測量士も国家資格ですが、難易度はかなり易しい。条件が合う学校を卒業で資格がもらえます。もしくは、試験を受けます。

測量士補測量士ともに試験に合格し、登録すると資格をゲットできます。

一般の人が思い描く測量がこの人たちです。

資格は公共の工事をするにあたって必要になるものです。境界などは設置できません。

主に、基準点設置や道路、橋などの測量を担当します。

 

3,墨出し

墨出しは資格などはいりません。だれでも、なれます。

しかし、器械を据えるスピード、正確さは測量業の中では1番です。

また、建築の知識も相当量必要なため、上級職長クラスでは、国家資格があってもいいレベルです。何度も土地家屋調査士測量士とも仕事をしてきましたが、引けをとらないどころか、勝っているところも多いなと感じました。

 

もし、墨出しをしていて、測量方面に興味がでてきたら、測量士補などの資格取得を考えてもいいと思います。

 

墨出しと測量が重なっているところ

 

地縄や境界確認など現場スタート業務がラップしている部分です。

躯体工事に入れば、測量ではなく墨出しに移行します。

ですので知っておくものとしては境界を測り、通り芯の設定までの間となります。

知っておくべきものとして以下の通りになります。

 

1,正の位置

2,測量の座標

3,境界の知識

4,配置図、地積測量図、など敷地を確定する図面

5,トータルステーションで境界を測る

 

1,正の位置

測量では、トータルステーションを使います。

トータルステーションとは、光波測距機とトランシットが合体したものです。

光で距離も測れるし、角度も出せるというものです。

土地家屋調査士も、測量士もトータルステーションを使っています。

トータルステーションの精度はかなり良いです。親墨出しにも使えるレベルといえば、墨出し屋さんには、わかってもらえると思います。

つまり、誤差が1,2ミリ位なのです。

墨出し屋さんもトータルステーションを使えるようになりましょう。

トータルステーションを使うとき癖にしないといけない動作があります。

それが「正の位置」です。

正の位置

常につまみが右にくる状態にします。

この位置で右回りに測量するのが基本です。

墨出しだと別に意識しない点です。親墨出しでも90°がでればOKなので、つまみの位置など気にしないと思いますが、これを見た人は意識して「つまみが右」で操作することを習慣にしてください。角度を出すときも、出来るだけ右まわりで行います。

 

・つまみが右側にある状態が「正の位置」

・測量は基本右回り(時計まわり)で測量する。

 

2,測量の座標

 

つぎは座標を解説します。

小学校で習ったあれです。しかし、注意すべき点があります。

測量の座標は一般の座標とX、Y軸が反対であるということです。

なぜかはわかりません。そう決まっています。

一般座標

上の図は学校で習った座標軸です。上下方向がY、左右がXとなっています。

測量座標はどうかというと、

測量座標

上下方向がX座標、左右方向がY座標となります。

これは注意してください。

JWCADやAUTOCADなどの座標は一般の座標となっているので、トータルステーションの座標を移すときは、逆にする作業が必要となりますので要注意です。

 

座標の位置

プラス、マイナスの位置を覚える。

象限

覚え方として、上はプラス(X軸)、右はプラス(Y軸)と覚えておく。

このプラス、マイナスは地縄、遣り方で必ず使うので、感覚として覚えましょう

 

・測量の座標は上下がX、左右がY

・上がプラス、右がプラス。

 

3,境界の知識

境界の知識を解説します。

 

境界の種類として

官民の境界

民民の境界

この二つがあります。

官民の境界とは、公有地と民間の土地の境界線を規定するものです。登記もされており、信頼できます。

一方、民民の境界はいまいちなものもあります。

民民とは民間と民間の境界ということです。田舎の方だと、立っている木を境界にしたりします。もうだいたいの世界ですね。

 

 

コンクリート

コンクリートでできた境界杭です。穴を掘り、杭を立てて、モルタルで固めるため頑丈で動きません。一番多い境界標です。

 

境界の位置

コンクリート杭で間違いやすいのは、矢印の先端が境界ではないということ。

杭の外面が境界点であるということです。上の図で言うところの赤の点。

初心者は何も言わないと、ほぼ黄色の部分が境界だと思っています。

要注意ポイントです。

 

そのほかには

金属標。これはよく見かけるものです。わかりやすいので間違いはないでしょう。

 

鋲。これも間違いようはないものでしょう。

 

金属標、鋲

 

 

4,配置図、地積測量図、など敷地を確定する図面

墨出し屋が見る図面として以下のものがあります。

地積測量図:登記されている図面。土地の面積、座標が記載されている。この座標は非常に使えます。登記されたもので、正式なものだからです。

 

求積図:土地の面積を測るために作られた図面。面積を計算するには、座標法、三斜法があります。座標法で、描かれている図面は使えます。

しかし、三斜法の図面は、あまり使えません。三角関数の計算を何度も繰り返してやっと座標が出る感じだからです。計算間違いのリスクが高まります。三斜法の図面は、境界の距離をあたるくらいでしか使わないと考えてください。

 

配置図:地縄の前に必ず見る図面です。通り芯が境界からどのくらい距離を取るかが描かれている図面です。この図面をもとに、通り芯を決め、建物の位置を決めるのです。墨出し屋にとっては、一番重要な図面です。

この図面によって通り芯が決まるからです。

 

これらの図面の情報で境界の距離を測ります。

しかし、大半の境界距離はミリ単位では表記されていません。

たとえば、15、834ミリが正規の寸法だとすると

15,83と書かれています。小数点第3位は切り捨てされるのが一般的です。

距離が合わないと悩むことはありません。

隣地境界線、道路境界線などと書かれています。

 

5,トータルステーションで境界を測る

境界同士を「対辺測量」というコマンドで測ります。

直線距離を測るのに適しています。

対辺測量

上記の図のようにトータルステーションがどこにあっても、直線距離が測れます。水平距離で測ってくれます。

わざわざ境界上にトータルステーションをセットしなくても測れるのです。

大変便利な機能なので、使えるようにしてください。

 

まとめ

今回は墨出し屋が知っておくと便利な測量の知識を紹介しました。

このなかでも

・正の位置

・座標。一般座標と、測量座標は違うこと。プラスマイナスの位置関係

必ず身に着けてください。

 

この先で、斜めの墨出しをトータルステーションで出すときに使います。

トータルステーションで斜めを出す事は、三角関数で計算で出すより、はるかに簡単です。しかも間違いにくい。

 

ぜひ覚えておきましょう。

間仕切り墨出し

間仕切り墨出し


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今回は間仕切り墨出しについて解説します。

 

間仕切り墨出しは、墨出しの全作業の中で、もっとも間違いが多い作業です。

それはなぜか。

・圧倒的に墨を打つ量が多い。

・寸法が細かい。

・図面が見ずらい。ぱっと見ではわからない図面も多い。

などの理由が挙げられます。

 

しかし、難しい技術はいりません。

間仕切り墨出しのポイントは、

手順を覚える

知識を覚える

だけです。

そして、間違いを減らす方法を身につける

これが重要です。

 

ですので、今回は

1.知識を覚える

2.手順を覚える

3.間違いを防ぐ方法

の順で解説していきます。

LGS



 

 

間仕切り墨出しの知識

間仕切り墨出しとは、何か、

間仕切り墨出しとは、一言で言うと、軽量鉄骨の位置を出す、という事です。

間仕切り(まじきり)とは、建築物の内部空間を区切るものです。たとえば居間と廊下や浴室と脱衣所のように、建物内部では用途によってさまざまな空間ができますが、これらを区切るのが間仕切りです

一般的には石膏ボードやLGSと呼ばれる軽量鉄骨製の下地材が使われることが多いです。

 

私達、墨出し屋は、その軽量鉄骨の位置を墨出しするのです。

 

細かい知識を上げればキリがありません。

私達は内装業者ではないので、そこまで詳しくなる必要はないのです。

ですが、最低限は押さえておきましょう。

間仕切り墨出しは、寸法通り出せば問題ないのです。

細かい収まりなどは、監督や内装業者に任せましょう。

 

出す墨は?

 

壁の位置

・開口の位置

・下がり天井の位置

この3点がメインです。

他にも、カーテンボックスの位置、床暖房の範囲、上がりかまちの位置などもありますが、メインの3点が圧倒的に量があります。

メイン3点を覚えれば、合格点です。

部屋を仕切る間仕切り壁の位置を出します。

壁は、軽量鉄骨を立てて、その上に石膏ボードを貼るのが一般的です。

私達は軽量鉄骨の位置を墨出しします。

軽量鉄骨の事をLGSと呼びます。

LGSにはいくつか種類があります。

その鉄骨の太さによって分けられます。

45.65.75

この3点がほとんどです。

他にも20や100などありますが、時々見る程度でしょう。

 

45

墨出しではこの45の幅のLGSをよく見ると思います。

主にマンションなどの部屋の間仕切りに使います。

材料に詳しくなる必要はありません。

私達はその幅を覚えて、中心からの振り分け寸法を暗記します。

45ですので2で割ると22.5になります。

たいていの間仕切り図面は軽量芯を載せています。芯を出したら、22・5振り分けをして、LGSの形状を出します。

私達が出す墨で一番多いのが45のLGSです。

 

65、75

耐火間仕切りや、店舗、工場などでよく使うLGSです。

65は32・5振り分け

75は37.5振り分け

 

石膏ボード

石膏ボード

 

一番使うものとして12.5のボードがあります。

次に9.5

ボードの墨を出す事は滅多にありません。しかし、ボードの事を知っておく必要があります。図面によって仕上がり寸法しか載せていないものがあるからです。

 

例えば、壁際などのLGSを出す際などに多いです。

 

図面ではこんな風に書かれています。

 

図面1

このまま、通り芯からの寸法を出すと(170)ボードの墨を出す事になってしまいます。現場では軽量の墨を出すのが、当たり前になっているので、その墨にLGSを建ててしまうと、部屋が狭くなってしまいます。

ボードの厚み分を引いた寸法を出さないといけないのです。

図面1であれば、170-12.5(ボードの厚み)=157.5の墨を出さないといけないのです。

 

ですので、ボードの知識も必要となります。

といっても、パターンは限られています。

1、12.5のボード一枚を貼る

2,12.5と9.5の2枚を貼る

3,12,5と12,5を2枚貼る

4,9.5を1枚貼る

 

90%以上がこのパターンです。

通常の壁は1枚だけボードを貼ることが多いです。

2枚貼る壁は、65や75の大きいLGSを使う壁、PSなどの騒音が出るところの壁などが考えられます。

 

下がり天井の場合は9・5のボードがほとんどです。

 

ボードの知識はこのくらいで十分です。

 

開口の知識

これは、かなり難しい。

突き詰めると、家具図やSD図を見て開口をださないといけない。

しかし、私達墨出し屋は、間仕切り墨出しだけするわけでもないので、図面通りに墨を出しましょう。

 

昔は、どさっと家具図やSD図を渡されて、開口だしておいてを言われた事もありました。スピードがかなり落ちたのを覚えています。じっくり図面を読み込まないとならないからです。

こうなると、数はこなせません。

家具図やSD図の読み方などは、覚えておいて損はないのですが、無理する必要もありません。

9割以上の現場では、図面に家具図やSD図の情報が反映されたものを用意してくれるはずです。

 

開口1

パターン1

開口1の図面を見てください。

これが一番オーソドックスなパターンです。

青の線から600。そこからワイド800の開口です。

このまま墨出しするとまたもや、仕上げの墨を出す事になります。

開口には枠が付きます。

その枠分引いた墨がLGSの止まりの寸法になります。

この図面には枠の寸法を載せましたが、大抵の図面には記載がありません。

一番多い寸法は25ですが、全部そうとは限りません。枠の寸法は必ず聞いてください。

この図面ですと青い通り芯から575。そこに墨を打つ。そこから800+25+25=850となりますので先ほど打った墨から850測り墨打ちする。

赤の寸法線が、実際に墨出しする寸法になります。

 

パターン2

 

開口2

このパターンも多い。

青字の寸法を見て下さい。

間仕切り芯から60と書いてある。

では先ほどのように60から枠の25を引けばいいのかというと、そうではありません。枠とLGSの間に12.5のボードが挟まっています。

これも、引かないといけない。それで引いてみるとLGSの面の寸法と同じになります。

60-25-12.5=22.5

ですので、図面左側の止まりの墨はもういらない事になります。(既に出ているから)

右側の止まりだけをだせばOKということです。

ですので

60+ワイド800+枠25=885

とするのが、一番わかりやすいと思います。

墨出しする際は、間仕切り芯からのスケールを出します。間違いないように。面からスケールを出したりしないように気をつけましょう。

 

図面3

記号(能書き)を書くとこんな感じです。イメージつかめましたか?

 

パターン3

 

このパターンは、リネン庫やクローゼットなどで多く見かけます。

今までのパターンだと、通り芯か間仕切り芯から開口寸法を追っかけているものでしたが、パターン3は少し違います。

有効寸法=開口というケース。

図面だとこんな感じで描かれています。

開口3

だから開口を出す時は、LGS面からスケールを出します。

芯からと間違えないように。パターン2は間仕切り芯からでしたが、パターン3は面からです。図面をよく見ましょう。

 

パターン4

 

パターン4は結論から言うと開口の墨を出す必要はないケースです。

図面ではこんな表記をしています。

開口4



パターン5

LGSがダブルの壁のパターンです。

引き戸などにこのパターンは多いと思います。

基本はパターン1、2と同じです。応用型と思ってください。

図面で言うとこんな形です。

開口5

LGSの止まりが複数ある形状です。

 

パターン6

これは開口ではないのですが、記載しておきます。

袖壁の止まりです。

間仕切り芯、通り芯から仕上がりの寸法をおさえてあります。

そこからボード分の12.5を引いてLGSの止まりを出します。

開口6

 

下り天井の知識

最後に下り天井の知識を解説します。

下り天井とは何か。

この写真を見てください。

下り天井

この様に天井に段差ができているものを言います。

配管を隠すためや、おしゃれに見せるためなどの効果があります。

 

さて、この下り天井に位置を床に出すのですが、注意点があります。

天井が低い方に引っ込める。

なんのことだがかわかりませんね。

しかし、この文言は暗記です。

図面で解説します。

下がり天井



わかったでしょうか。

大抵は、天井が低い側は図面を見たらすぐにわかります。

おしゃれマンションなどで時々分かりずらい時があります。

その時はこの文言です。

天井が低い方に引っ込める

 

また、下り天井下地の位置は、幅で出す必要はありません。(出してもいいですけど、出さなくても大丈夫)

 

その他の知識

・芯ズレ

これはボード2枚貼りと1枚貼りの境で起きる現象です。

仕上げ面は同じなため、LGSの位置が引っ込んだり、出たりするのです。

芯ずれ



うっかりすると、芯振りしてしまうので、要注意なポイントです。

図面にあらかじめ色付けしておくなどの対策が必要です。

 

間仕切り墨出しの手順

次は手順の説明です。

間仕切りの墨出しにはルールが一つあります。

それは、「片追い」というものです。

どうゆうことかというと、寸法を追っかけるの通り芯を一つに決める事。

X1が玄関側の基準、X2がベランダ側の基準とします。

その時、X1から順に間仕切り壁を墨出ししていきます。そう決めたら、X2からは寸法を追っかけないのです。親墨のスパンがピッタリとは限らないための処置です。

こっちの壁はX1から、こっちはX2からと追っかけた結果、部屋が五ミリ小さくなってしまった・・・ということを防ぐためです。

かたおい



それさえ守れば、他はどう出しても大丈夫です。

しかし、やり易い方法もありますので、今回はそれに沿って解説します。

 

① 廊下の壁を出す。

部屋をズドンと2分するメインの壁を先に出します。

廊下と部屋を分ける壁であることが多いのですが、もちろん違うことも多いです。

しかし、まずは、長い壁を探して出すことが、一番です。

これを間違えると厄介なので、必ず逆チェックしましょう

 

② 各壁を出す

細かい壁を出していきます。

慣れないうちはまず芯墨だけを先行して出すことをおすすめします。

なぜなら芯だけなら1本の墨なので間違った時に修正が楽だからです。

これをLGSの墨、3本打ってしまうと、間違った時、消すのが大変です。

 

最後の間仕切り芯を出したら、必ず逆の通り芯からチェックします。

 

あと、壁側のふかしの壁の出し忘れに気をつけましょう。

忘れやすいポイントです。

 

③ 下り天井を出す

下り天井の墨を出します。

 

④ 開口の墨を出す。

開口の墨をチェックしながら出していきます。

その際記号(能書き)も、ペイントマーカーで書いていきましょう。

 

⑤ 出し忘れがないか、部屋全体を見る。

特に開口、下り天井下地の墨、壁ふかしの墨の出し忘れが多いので、その辺を重点的に見ていきます。

大丈夫そうでしたら1部屋終了です。

 

かかる時間ですが、大きさによっても違いますし、形状の複雑さによっても

大きく違います。また事前準備を入念にしていれば時間短縮できます。

ファミリータイプの間仕切りですと、1部屋1時間から1時間半位を目処にしてもいいでしょう。

ワンルームだと40分から1時間くらいでしょうか。

あくまで目安です。

チェック



間違いを防ぐ方法

最後に間違いを防ぐ方法です。

なぜ間仕切り墨出しは間違いやすいのか?

原因として

1、単純に量が多い

2、寸法が細かい

3、図面が見ずらい

 

大きくわけてこの3点が挙げられます。

これらの原因からヒューマンエラーを引き起こし、間違ったまま納品することになります。

 

1、の量が多いのは致し方ないことです。

ですので2、3を改善します。

 

事前準備が大事です。

間仕切り図面には、LGSの他にもたくさんの情報が載っています。

それらは、間仕切り墨出しの際はノイズとなります。

すぐに寸法が読み取れない原因の一つです。

 

・その対策として図面上のLGSに色を付けていきます。

蛍光ペンなどが適しているでしょう。

その際、芯ずれしているところ、寸法が分かりづらいところも見ていきます。

 

・次に、計算をします。

通り芯から、一発で追えることが少ないのが間仕切り図面です。

現場で計算機をなるべく使わないようにするため、あらかじめ計算していきます。

 

・事前準備した図面を持って現場で墨出しを開始します。

手順は、先ほど述べた通りです。

 

ここで大事なチェック方法を解説します。

「逆チェック」です。

開口がわかりやすいので、開口の逆チェックを説明します。

 

要するに、反対から確認するということ。

これは、単純ですが、効果抜群です。

そして、間違っていないという確信が持てます。

 

1、壁の逆チェック

順番に追っていき、最後にバルコニー側の通り芯からの寸法でチェック。

 

2、開口の逆チェック

これは先ほどの通り。

 

この2つだけで、重要な箇所は間違いをすることは無くなります。

 

問題は逆チェックできないところです。

ここが間違い多発地帯です。

今までは、最後にチェックするというやり方をしていたのですが、最後までいくと次の部屋に、気持ちが行ってしまい、「大丈夫だろう」と妥協しがちです。私がそうでした。

最後にまとめてというのをやめて、墨を出した都度、チェックするようにしました

そうすると、妥協しなくなり、間違いがグンと減りました。

逆チェックできるところは逆チェックする。

できないところは、声出し、指差し確認する。確認したぞとういう記憶を残しておく。

確認をすることが大事なので、ゼロチェックで結構です。サッとスケールを出す。都度確認していく。

 

その他の確認方法は、墨出しの基本ですが記載します。

・墨を重ねて打つ際は、伸ばして墨を打つ。誤差や、間違いがあるとバチリます。

間違いに気付けます。

 

・90度になっているか確認。目視する。違和感があったらチェック!!

 

まとめ

 

間仕切りは図面さえ読めれば、誰でも出せる墨です。

でも、間違いは圧倒的NO1作業です。

墨を打つ量も多いため、確認しきれないのでしょう。

もしくは大丈夫だ、俺は間違いないという過信からでしょうか。

人間は、時に信じられないようなミスをします。

単純作業でさえミスするのですから、間仕切りの墨出しでミスしても仕方ない様にも感じます。しかし、墨出し屋の仕事は常に100点、パーフェクトを求められ、仮に100点を取っても、当たり前としか捉えられません。

なのに、間違えると大変。

やってられないと思った時がありました。

 

おそらく、将来的には、ロボットが間仕切り墨出しする様になるでしょう。

寸法さえあればできる仕事は、墨出しロボットが代行できます。

それまでは、きっちり確認して、やっていくしかないでしょう。

 

とにかく都度、確認。逆チェック。

確認、確認、事前準備、確認です。

 

間仕切り墨出しはこれで最低限の知識です。

突き詰めるともっと奥が深いです。

常に学習していきましょう。

 

大丈夫そうですか?

 

お疲れ様でした。