斜めの返り墨を出す方法(関数電卓編)
さて、いよいよ斜めの返り墨を出す方法を解説します。前回までの、三回の知識を必要とします。
関数電卓で出す方法、そして、トータルステーションで出す方法を解説します。
このシリーズを最後まで見ればあなたも斜めマスターです。
まずは関数電卓から。
複素数計算を使います。
前回では、距離、角度を一瞬で出す方法を解説しました。今回はプラスして、座標を出す方法が付け加わります。覚えるのはこれだけ。あとは手順を理解すればOKです。
斜めの返り墨がだせます。
設定
まず、このキリがいい数字を使った図面で解説していきます。
手順
1、交点の座標をだす。
まず、斜めが始まっているXとYが交わる点の座標を出します。(A)
交わる点を交点と呼びます。
次に、斜めが終っている交点の座標を出します。(B)
そして、この座標をメモリーします。(STO→A、STO→B)
2,交点間の距離を求める
複素数計算で出します。Absキーで求める計算です。
3,AからCの距離を求め、メモリーする
A~B間の距離から、1m離れた所にCがあるので、単純にAB間距離から1mを引きます。そしてそれをメモリーします。距離なので、Mに格納します。
4,角度を求めます。
Aを器械点とし、Bを観測点としたときの角度を求めます。
角度がでたら、Xに格納します。
5、角度を加工します。
さきほど格納したXに90°をプラスした数値を今度はYに格納します。
6,Cの座標を出し、メモリーする。
7,Cの座標を呼び出し、Dの座標をだす。
これでDの位置が特定できました。
斜めの基準線から1m平行返った墨で、かつ、交点から1m離れています。
斜めの返り墨を打った後、Dに差し金、もしくはトランシットで90°振ればOK。
手順はこれだけ。簡単です。サイン、コサイン考えるよりはるかに簡単です。
電卓操作を覚えるだけです。
しかも、この方法のいい所は交点の返りも出してしまう点です。
ぜひ、覚えてください。
関数電卓操作法
1, 座標の入力
A 3000+1000 i STO→A
B 5000+10000 i STO→B
2,A~B間の距離を求める
SHIFT→Abs→(alphaA - alphaB)=9219.544457
3,A~C間の距離を求めて、メモリーする
そのまま-キーを押す。ANS-となる。
1000入力=8219.544457 STO→M
4,角度
OPTNキー→1,偏角を選択 Arg(
alphaB-alphaA=77.47119229 STO→X
5,角度の加工
そのまま+キーを押す ANS+
90°を入力 STO→Y
6、Cの座標を求める
ここから初めての操作が入ります。でも特に難しくはありません。
①Aを呼び出す alphaA
②+キーを押しAC間の距離を入力
+alphaM
③ 角度を入力
shift ∠(ENG)これは初めてのボタンですが、∠←この記号が書かれているので、わかりやすい。
④角度を入力(加工していない方) SHIFT→X =
4783.069542
+9023.81294
これがCの座標です。上の方がX座標、下がY座標です。
これをこのままメモリー STO→C
7,Dの座標を求める
Cの座標を呼び出す。alphaC そのまま+キーを押し、1000(返り墨)
shift ∠ alphaY(加工した角度)
イコールキーでDの座標がでました。
3806.8824882
+9240.743398
これがDです。
特に難しいことはなかったと思います。
メモリーの位置は忘れないことと、打ち間違いだけ気をつければ、だれでも簡単に斜めの返り墨を出す事ができます。
もちろん1点では返り墨はでないので、もう一点も計算しますが、メモリーしてあるので、先ほどよりも簡単にできます。あとはその2点をトランシットで結べばOKです。
いかがでしょうか?
操作を覚えるまでは、大変かもしれません。
でも、覚えてしまえばこっちのもの。斜めの返り墨は関数電卓で素早くだせます。
他の人がサイン、コサインで計算しているのを横目にさっと計算できているのですから、びっくりされると思いますよ。
関数電卓での斜めの返り墨は以上です。次はトータルステーションでの返り墨の出し方を解説します。
おつかれさまでした!!