墨出しマニュアル

現場で使える墨出しマニュアル

仕上げ墨出し(サッシ取り付け用の墨出し)

今回は仕上げ墨出しについて解説します。


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仕上げ墨出しとは?

 

仕上げ墨出しとは、躯体内部に、基準となるレベル墨(陸墨)及び、縦墨を出す作業です。仕上げ墨という言葉は人によって「間仕切りの墨出し」ととらえる人も多いので注意してください。墨出し屋の世界では仕上げ墨出しというと,内部のレベル、縦墨出しのことを言います。

主にサッシ取り付けのための墨になります。

サッシ取り付けは非常に精度が必要になるため、レベル、そして垂直、平行をしっかりと確保する必要があるからです。

親墨出しの次に墨出し屋のメインとなる仕事です。しかし、やる事は特に難しくはありません。新人でも二か月もすれば、マスターできます。まずは仕上げ墨出しを習得するようにしてください。

 

とはいっても、非常に重要な仕事です。精度もかなり求められますので、軽く見ないようにしてください。

 

私たちが出した墨はサッシ取り付けのほかにも、躯体のチェック、左官の躯体補修、

内装工事の高さの基準、廊下、ベランダのタイル貼りなどに使われます。仕上げ工事で様々な場面で使われる重要な墨になります。

 

現在の仕上げ墨出し

ひと昔前は、仕上げ墨出しは職人の技術の差が大きく開く作業でした。

レベル墨を出すのに、すべてオートレベルを据えていました。1フロアーのレベル墨をだすのに何十回もレベルを据えなければいけませんでした。一分、一秒据えるのが遅いとかなりの時間の差ができます。オートレベルを素早く、正確に据える事ができる職人が優秀な職人でた。

縦墨も大変でした。重い下げ振りで躯体下部に墨刺しで付けたポイントを上げる。これも何十箇所も上げる。ずっと下げ振りを目線より上で固定しているため、腕がプルプルしてきました。一つのポイントを何秒であげるか競ったものでした。

 

しかし、現在は様変わりしています。もう、高速でレベルを据える必要もなく、重い下げ振りを使う事はなくなりました。それはなぜか・

「レーザー墨出し器」が進化したからです。

スイッチをひねれば簡単に水平、垂直の墨がだれでも出せます。それこそ墨出し屋でなくとも精度の良い墨がだせるようになったのです。

意固地になってレーザーを使わない墨出し屋もまだいますが、便利なものは使っていきましょう。レーザーのお陰で仕上げ墨出しはぐっと楽になり、スピードも格段にあがっています。

まず、基本的な考え方を紹介します。

 

レベル墨出し

レベル墨出しで重要なのは誤差修正です。

下の階から、スケールで何箇所か測り上げるのですが、すべてのポイントがピッタリくるのは割と難しい。1ミリか2ミリ位誤差が出る事があります。たとえば三点みたとして、どれが一番精度が高いかまず判断します。そのポイントにオートレベルを据えてみて、他の点を見てみます。1ミリ位の誤差なら問題ないので、その点を基準にします。

2ミリ以上あった場合は少し問題です。オーソドックスな解答はすべての点の平均をとる。どの点から測っても、一番誤差が少ない所を基準と決めます。すべてが1.5ミリとか少なくとも2ミリ以内がいいでしょう。

 

縦墨出し

縦墨出しで重要な考え方は、スケールでのポイントの取り方にあります。

返り墨にレーザーを据えて、躯体にポイントを取っていくのですが、その際スケールを使用します。

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こんな感じですね。しかし、この水平、直角は感覚を養うしかないのです。ここが一番難しい所です。あまりに水平、直角が悪いと誤差がでてしまいます。それを確認する方法があります。水平、直角に自信がない時、この方法を使用して確認してください。

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高さも同様に上下に振ってみて数値が一番大きい所が水平な箇所です。

では手順を紹介していきます。今回はレベル墨出しを解説します。

 

 

レベル墨出し

1 下の階からスケールで測り上げる。なるべく躯体に沿って真っすぐに測り上げれる場所が好ましい。下の階で出したレベル墨をしっかりと、ズレなく押さえてもらう。

下の階の人はスケールで100を合わせたら「100押さえました!」と必ず報告。

できれば3点以上測り上げる。

 

2 測り上げたポイントにオートレベルを据える。なるべく3点のポイントが、すべて見える場所に据える。

 

3 基準点をとる。これにレーザーを合わせて墨を打つので超正確に!0.5ミリ以上の誤差がでないように。そのためには直接ポイントにオートレベルを据える事!

SL1mの墨をだすならSL1mに直接据える。慣れるまでは難しく感じるが、慣れてしまえば1~2分で据える事ができる。間違えることはないし、一番正確なので必ず直接据えよう!!

 

4 各所にポイントをちりばめたら、あとはレーザーを据えて、ポイント出し。

 

5 ポイントをしっかり押さえて墨打ち。

 

レベル墨出しの注意点

 

作業前に確認すること

・打ちっ放しで墨を打ってはいけない所はないか。必ず確認すること。打ちっ放し面がある場合には注意喚起しておく。(チョークなどで書いておく)

 

 

1 下の階からスケールで測り上げる。なるべく躯体に沿って真っすぐに測り上げられる場所が好ましい。下の階で出したレベル墨をしっかりと、ズレなく押さえてもらう。

下の階の人はスケールで100を合わせたら「100押さえました!」と必ず報告。

できれば3点以上測り上げる。

・外部がタイル貼りの場合、レベルが必要になります。その場合には外部は測り上げる事ができる場所はすべて測り上げます。

 

2 測り上げたポイントにオートレベルを据える。なるべく3点のポイントが、すべて見える場所に据える。

 ・一度に全部見えるのが理想です。

3 基準点をとる。これにレーザーを合わせて墨を打つので超正確に!0.5ミリ以上の誤差がでないように。そのためには直接ポイントにオートレベルを据える事!

SL1mの墨をだすならSL1mに直接据える。慣れるまでは難しく感じるが、慣れてしまえば1~2分で据える事ができる。間違えることはないし、一番正確なので必ず直接据えよう!!

 

 ・墨を打つ前に必ず、スケールで土間を当たること!!レベルがSLなら土間がぜロになる場合がほとんどなので、100、200の間違いには気づくことができます。

ばかばかしいかもしれませんが、習慣にすること。一秒の作業です。

 

4 各所にポイントをちりばめたら、あとはレーザーを据えて、ポイント出し。

・レーザーは必ずポイント2点(オートレベルで取ったポイント)以上で確認してください。レーザーは半径7m以上の距離では遠すぎるのですえかえてください。

しかし、なるべく一回で多くのポイントを取る事が誤差を減らす秘訣です。

 

5 ポイントをしっかり押さえて墨打ち。

・墨は目線の高さで打つ!つまり中腰になること。押さえる人も同様です。

これが基本。めんどくさいけど真っすぐに墨が打てます。

 

チェックポイント

□ レベル墨出しの際、土間で確認したか?

□ オートレベルでの誤差は?2㎜以内だったか?

□ 外部はレベル墨出ししたか?バルコニーは?庇の先端は?

 打ち忘れはないか一度点検しよう。

□ 縦墨の際、開口の出入りの墨、寄りの墨は出しているか?

□ 能書きの間違いはないか?確認して!

                       お疲れさまでした!!

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